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神子内
昔々そのむかし。
足尾の山々は、神様や仏様に仕える者たちの修業の場所だったそうじゃ。
日光に抜ける細尾峠は、とんでもない険しい峠道だったそうじゃ。
ある日のこと、そりゃあそりゃあ美しい巫女さんが、さらにさらに辛~い修業に耐えるために峠を越えようとしたんじゃが、
神子内の地蔵坂のあたりで腹痛(はらいた)を起こしてしまい念願叶わず死んでしまったそうじゃ。
そこを通りかかった上人は、これを哀れんで地蔵尊を祀って弔ったそうじゃ。
そののちにこの坂を地蔵坂といい、この地を神子内というようになったそうじゃ。
今の日足トンネル足尾側の右岸の滝を地蔵滝というのじゃ。
水量が多く沢釣りにはもってこいの沢じゃ。紅葉も綺麗だしのう。
行ってみなされ!
【読み方】細尾峠(ほそおとうげ)
庚申山猿伝説
昔々そのむかし。
ある時、庚申山に登った猟師が吹雪に遭ってしまったそうじゃ。
うっかり谷底へ落ちてしまい崖を登ることができなったそうじゃ。
その時!年老いた一匹の猿が現れたんじゃそうじゃ。そこで、猟師は大きな猿に「助けてくれたらワシの娘を嫁にやってもよい。」と言って助けをこいたそうじゃ。
すると大猿は、仲間を使って猟師を崖から助け出し無事に帰ることができたそうじゃ。
だけども、猟師は猿との約束に悩みに悩んで、ある日のこと、娘たちに事の真相を話したそうじゃ。
娘たちは「そりゃあいやだあ!」と泣き叫んだそうじゃが、末の娘はお父うの話に泣く泣く行くことに決めたそうじゃ。
しばらくして猟師が庚申山に行くと、大猿のそばに寄り添う一匹の猿を見て、「おらの娘だ!」とすぐに解って泣いて山を下りたそうじゃ。
庚申山は、勝道上人が男体山登頂に成功するために修業をした山の一つじゃ。
春はヤシオツツジ・トウゴクミツバツツジに藤の花。初夏は庚申草。夏は深緑。秋は紅葉。
行ってみなされ!
【読み方】庚申山(こうしんざん)庚申草(こうしんそう):国の天然記念物
波之利大黒天
昔々そのむかし。
勝道上人というたいそうえらいお坊さまがおったそうじゃ。
弟子たちと足尾の地に修業に入ったときのことじゃが、あるところまで来ると川には橋がなくて渡れなかったそうじゃ。
「渡るにはどうしたものじゃのう!?」とあちこち歩きまわって浅瀬をやっとみつけ、無事川向うにわたることができたそうじゃ。
お坊さまはその地を「渡良瀬」と名づけたそうじゃ。
昔はそこに宝増寺があったのじゃ。松木川と神子内川が合流する場所には大黒橋があるのじゃ。川岸のそばにあった祠の波之利大黒天は、
今では大黒橋のたもとの祠にお参り用の大黒様がおるのじゃ。本物は宝増寺におる。
歩けなかった旅人がお参りしたところ、歩けるようになったとお礼参りをしているようじゃが、”足”に御利益があるようじゃな。
行ってみなされ!
【読み方】渡良瀬(わたらせ)宝増寺(ほうぞうじ)松木川(まつきかわ)神子内川(みこうちがわ)
足尾のはじまり
昔々そのむかし。
勝道上人というたいそうえらいお坊さまがおったそうじゃ。
そのお坊さまは、日光の山々を巡って雨の日も風の日も雪の日も辛~い修業をしておったのじゃ。
ある時、お坊さまの前に粟の穂をくわえた白ねずみがあらわれたそうじゃ。
お坊さまは「このような山奥に粟の穂があるわけがない!」と不思議に思い、白ねずみの足に緒(ひも)を結んで放してやったそうじゃ。
お坊さまがそのあとをそうっと付いていくとやがて静かな山里についたそうじゃ。これが足尾のはじまりじゃな。
そん時お坊さまが、大黒様と白ねずみを祀ったとされる「波之利大黒天」が今でも宝増寺の本堂に安置されとるそうじゃ。
行ってみなされ!
【読み方】勝道上人(しょうどうしょうにん)波之利大黒天(はしりだいこくてん)